Web Portfolio Creation Workshopができたきっかけは、僕が自身が「自分らしさ」がわからないという動機から始まり。 ところで「自分らしさ」ってなんでしょう。
「自分らしさ」とは何か問われたときに、答えられる人は少ないと思います。僕も依然として自分らしさが何かを答えられる気がしません。 「自分らしさ」はあまりに曖昧で、言葉にすることは難しいです。でもその曖昧な「自分らしさ」ってやつが発揮されてる瞬間・されてた瞬間って必ずみんなあると思うんです。どうすればどんな環境でも「自分らしさ」が発揮できるようになれるのだろうか。 そんなことを考え行き着いたのがこのWeb Portfolio Creation Workshopです。
僕は中高を父親の仕事の都合でアメリカのカリフォルニア州で過ごしました。 文化の壁・言語の壁。それはもう大変でした。でも一方、本当にとっても恵まれていたのが、多様なバックグラウンドを持った様々な方に会えたことです。
自分が通っていた中高は、現地校でありながら半分以上が僕のような外国人でした。生まれそ育ちもアメリカという人の方が多かったですが。 信仰する宗教の違い、文化の違い、様々な背景を持った生徒が学校に集まっていました。 「これが良い」「これは悪い」ではなく、「これも良くて、でもこれも良い」 様々な背景を持った生徒が集まっているからこそ、誰の意見も否定されることがなく、本当に色々な意見が飛び交う環境でした。
そこで、色々な価値観に触れることで、自らの価値観がどんどんアップデートされ、視野が広がったし、何より自分のことをより客観的に理解できるようになりました。おのずと自分を主張できるようになりました。僕にとってこれはとても貴重な経験でした。
こういった環境に触れることは、「自分らしさ」を考える上でも・発揮する上でも大切なことだと思うんです。 多様な人が集まり多様な価値観に触れられる環境で、自分の意見が言え、それが認められる環境。 そんな環境の創出を目指して始まったのが、このWeb Portfolio Creation Workshopです。
こんな環境が作りたい!と気づいたのは、大学3年生の前期が終わろうとしている時。
とにかく時間がない!
「一緒にやったら面白いもの作れそうじゃない?」 真っ先に取った行動が、このWeb Portfolio Creation Workshopの企画者の一人であるSoraponに声をかけたことです。 ここで断られてたら今の活動はありませんでした。
この人すごいんです。子供のまんま大人になった感じ。本人は、大きくなっても「子供心」を忘れないでほしいという想いを持って活動を一緒にしていましたが、それを本当に自分がまんま体現しているんです。僕から見たらSoraponはいつでも「自分らしくある」ことができている「自分らしさ」のお手本でした。 そんな「自分らしさ」の答えを持っているかのような人とできれば、自分が作りたいものにより近いものが作れると思ったんです。
もちろん、彼女が持っていた大きくなっても「子供心」を忘れないでほしいという想いと、自分が作りたいと思っている環境が重なる部分があり、掛け合わせたら面白そうと思ったということも大きいですが。
僕の作りたいと思っていた「多様な人が集まり多様な価値観に触れられる環境」がもし作れたとしても、そこに自分らしくあれる人がいなければ、皆がありのままで自分の意見が言える環境を作るのは難しかったように思えます。 自分らしくあれる存在は僕では務まらなかったので、あの時Soraponに声をかけ一緒にワークショップを作って来てくれたこと心から感謝しています。
夜行バスで行った先の広島と岡山の学校で、対面ワークショップをやる機会を与えてもらえたことからスタート。
今のワークショップは完全にオンラインで、かつ様々な学校から様々な学生が集まってくれていますが、最初からそれができたわけではありません。
最初の活動は、自分が所属した長谷部葉子研究会との繋がりがあった学校の先生に連絡をとり、その先生が勤めている学校に赴いて対面でお試しワークショップをやらせてもらったことが始まりでした。 広島にある小中高一貫校と岡山にある高等学校に、担当教員と当時所属していた長谷部葉子研究会のGlocal English Projectのメンバーと行き、Strength & Weakness をお試しワークショップとして実施させてもらいました。
その対面で行ったお試しワークショップを受け、先生方からもご賛同いただき、オンラインでのワークショップに移行。 初めはその先生の多大な協力もあり、広島の学校と岡山の学校の放課後の時間に両学校からの参加者が学校から繋いで参加してくれる形で1学期間通じて定期的にオンラインでワークショップを実施しました。
それからはオンラインという特色を活かして、多様な人が集まり多様な価値観に触れられる環境を創出するべく、様々な学生が繋がれるようワークショップに参加をしてくれる学校を増やしていき、今では様々な地域の学校の小学高校学年から大学生までが集まるワークショップにまでなれました。
思い返すと、最初はそんな始まり方だったなーと懐かしく思えます。 関わってくださった全ての皆様に感謝です。
どうしたら10を付けてくれるんや。
ワークショップを始めて半年、ワークショップに参加した生徒の変化・変容をどうにか数値化できないかと考えたことがあります。 ワークショップに参加することで参加者の自己肯定感や自己有用感を上げることができているのではないか。それを図るすべはないのか。
それを図る手段として、ワークショップ後のアンケートで、「本日のワークショップでの大学生は何点だった?」(10点満点)また、「本日のワークショップでの自分は何点だった?」(10点満点)を理由と共に聞いていたことがあります。 このアンケートの意図は、自身の変化や変容は自分自身しかわからないが、それを図るために何か基準になるものが必要と考え、大学生を一つの基準にしてしまおうと思ったからです。自己肯定感が上がりましたか?なんて聞いても答えにくいし、誘導尋問のようになってしまうと思ったので。
また大学生を点数の基準においた理由は、ワークショップに参加してくれている中高生が大学生を一つのお手本にしてくれていたからです。参加者自身がつける点数は回を重ねるごとに変動しても、大学生の点数は回を重ねても一貫して高い点数が保たれると見込んでいました。
なんの根拠もなく思いつきでやってみたアンケートでしたが、見事に見込み通り大学生の点数はほとんど変化することなく参加者の点数だけが変動するという結果になりました。(実際の結果が以下の通りです)
実施回 大学生の点数(平均) 参加者の点数(平均) 第1回 9.22 6.11 第2回 9.33 7.66 第3回 – – 第4回 9.5 8.2 第5回 9.5 8.06 第6回 9.45 8.09
参加者の点数の変動も4回目以降はほとんどなく、8あたりで落ち着いています。 この結果だけ見るに、参加者にとってワークショップが何かしら良い影響を与えていると信じたいですが、正直なところこのアンケートにどれだけの信憑性があるのかは分かりません。
でも、ここで一番話したいのはそこではないんです。
このアンケートを答えてくれる参加者の中に一人、大学生の点数は基本5点前後で、自分のことは9または10点をつける参加者がいました。 それが彼の評価だからそこには異論ないのですが、上記でも述べたように大学生の点数を一つ基準値として置いていたので、彼はこのアンケートに置いてとんでもないアウトライヤーでした。
ところで、大学生は何をすれば彼に高得点を付けてもらえたんだろう。 聞いてみたかったけど、聞いたら気を遣って大学生に10を付けてくれるようになってしまうかもしれないので、結局聞けず、、。
「大学生と一緒に何か企画をしてみたい」「そんなの参加するの一択じゃん!」
Web Portfolio Creation Workshopでは、「参加者企画コンテンツ」という取り組みをしており、ワークショップ参加者を主体に参加者と大学生が一緒にワークショップで行うコンテンツを考え、そのコンテンツの実施をしていただいています。
この取り組み自体はオンラインワークショップが開始し、半年を経過した頃から始まったものです。 この取り組みを始めることになったのは、ワークショップ後のアンケートに「もし機会があれば大学生と一緒に何か企画をしてみたい」と一人の参加者から書かれていたことがきっかけです。
またこのワークショップでは、多様性を大事にするためコンテンツを企画する際にも色々な人の意見・アイデアを交えて作ることをしていたため、ワークショップに参加をしてくれた参加者の意見・アイデアを取り入れることでより良いワークショップコンテンツができるのではないかと思い始まりました。
実際、大学生だけで作るコンテンツよりも参加者と一緒に作ったコンテンツの方が参加者から好評のことも確かです。嬉しいやら悲しいやら。
この取り組みを始め最初に参加してくれた4人のうち1人は、当時参加してくれた理由を、「参加者としてやってた時が楽しすぎて、そんなの参加するの一択じゃんって思った」とのちにインタビューをした時に語ってくれました。 嬉しい限りですね。ほんとに。
参加者企画コンテンツに参加をしてくれる中高生とコンテンツを作ると、大学生だけじゃ絶対出てこないようなアイデアが出てくるんです。 歳をとると頭が固くなるって本当なんですね。痛感します。
ちなみに、現段階で参加者と一緒に作った企画は以下の5つです。
一緒に企画をしてくれた参加者の皆さん、本当にありがとうございました!
“論文じゃなくても良い”という選択肢の広さが返って難しい。
このサイトが僕の卒業制作になるわけですが、これを作ろうと決めたのは半年前です。
Web Portfolio Creation Workshopは、始めた当初からコンテンツ自体は誰でも実施できて、またワークシートも誰でも取り組めるカタチにしようと決めていました。 大それた望みとして、できるだけ多くの人にこのワークショップに参加して多様な学生が交われる環境を創出したいと同時に、自分達が作ったコンテンツをより多くの人に手に取ってもらい、それに取り組んで欲しいという気持ちがあったからです。
なので、卒業制作という大学生活の集大成で、このワークショップで今までやってきたコンテンツをオープンソース化して誰でもアクセスできる形にしてしまおうと考えました。 また、これまでのワークショップ参加者が作ってくれた作品が各コンテンツ蓄積されていたので、公開しても良いと許可が取れている作品をギャラリーにしてしまおうと考えました。 より多くの人に手に取ってもらい取り組んでもらいたいという想いを叶えるために、実際にワークシートをダウンロードし取り組んだものをサイト上にアップロードできるようにし、それらがギャラリーに追加されるようにしてしまおうと考えました。
その結果できたのがこのウェブサイトです。 これを広めたいという想いは強くないですが、このようものを必要としている人に届くといいなと思っています。
「Kaitoさんがいないですね」
みんなの色が乗っかるのが、このワークショップの色!
このウェブサイトを作るにあたり、プログラミングなどの知識も経験もほぼ0だったので、作品のアップロードを可能にすることや、それらをギャラリーに追加できるようにすることなど、色々大変なこともありました。 でも何より一番悩まされたのは、「Kaitoさんがいないですね」と言われたことです。 悩んだ結果、「僕のらしさってなんだと思いますか」と身近な人に聞き回ったりもしました。
言われてみれば、「自分らしさ」とか言ってる割に確かに僕の存在が全く見えてこないウェブサイトだなーって自分でも思います。でもこのサイトに自分を前面に出すことには何故か抵抗感がありました。
このワークショップは、自分の想いを起点にはじまったものとはいえ、僕自身の色が前面に出てるワークショップってわけでもないです。むしろ、一緒にワークショップを企画してくれている大学生や参加してくれている参加者の色が出ることで、成り立っています。 Soraponに声をかけた時点からずっとそのカタチで、自分もまたそのカタチを望んでいたんだと思います。
できれば多くの人に届いてほしいって想いを叶えるにも、僕らしさが前面に出ているよりは、誰でもできるという再現性があった方がいいでしょう。 無論、自分を打ち出すことはとっても苦手なんだけどね。でもそれも自分らしさ。